ブオーん

メニュー| バル | 抵抗 | | 最悪 | 三日月 | 初夏 | 法学部 | 切迫 | 鉄製 | 50 | 円卓11 |

鉄製

鉄製

 生徒会室の鉄製の扉に、ガゴンガゴンと、へこむほどの力を込めたノックがされた。生徒会室にいた四名の内、三名の顔が瞬時に青ざめる。こんなことをするのは奴しかない。だが、円卓の奥に座る沙紀だけはいつもと変わらぬ様子で、いつもの一言を発した。

 その一言をきっかけに、ドアの取っ手が壁につく勢いで開かれる。

「ジェス・ロウストラリア、大志田大学駅前の清掃活動の申請に来た」

 不機嫌極まりない声音を隠そうともせず、ジェスはズカズカと沙紀の手前まで歩み寄る。

「……今日はあの口うるさい男はいないようだな」

「ええ。風邪でも引いたようで、三日前から姿を見ないわ」

「笑顔の偽造が中々巧くなったものだな、藤堂沙紀生徒会長」

「お褒めにあずかり光栄、という事にしておきましょう。それより、その醜悪な仏頂面をどうにかして頂けないでしょうか? 皆が怖がっているのでね」

 沙紀は申請書とボールペンを手渡す。ジェスはそれを奪い取るように乱暴な手付きで受け取り、その場でサインをする。

「まあ、それでもあのサイよりはずいぶんマシですがね」

 刹那、ジェスの右手が沙紀の首元に閃いた。彼女の襟首をつかんだジェスは血走った眼を見開く。

「フランクは、僕の友人は、サイではない。立派な人間だっ!」

 だが沙紀は、襟首を取られながらも冷笑を垣間見せる。

「あれの、どこが人間です? 人智を逸した腕力に、醜悪極まりない面貌」

 ジェスの腕にさらに力が込められるが、沙紀の喉はなお動く。

「外見は人と同じでも、体温の調整すらも困難な下等な爬虫類」

「……黙れ」

「そして、人の生き血を吸う化物……これのどこが人間です?」

 ジェスの顔が怒りでどす黒く染まるのと同時に、後ろのドアがノックも無しに開けられた。

「ストッープ! ストッープゥゥゥ!」

 息を切らし、膝に手をついて幸一は、ジェスと沙紀に語り掛ける。

「え、えーと、えーとっ、何があったのかは存じ上げませんが人類皆兄弟というじゃないですかっ! こ、ここはお、お、穏便に、穏便に!」

[PR]ダイエット車 査定