最悪
その『最悪』が、誰かが殺される事だと考えた幸一は、暗い話題から話を逸らす。
「あの……そこのアパートなんで」
マナは渡されたキーを使いドアを開ける。
部屋の奥まで進み、電灯をつける。布団をかけていないコタツが中央に鎮座し、右隅にベッドがある。まだ荷物を整理していないのか、段ボール箱が三つ程置かれている。
「えっと、ベッドに寝かせていいのかな?」
「……あ、はい。今日は、もう疲れたんで、このまま寝ます」
消え入りそうな声の幸一。確かに、マナも全身に鉛をつけたような疲労があった。
「じゃあ、お休み」
「お休みなさい……夢に出ないといいなぁ、今日の事」
心の底から願っている幸一の様子を見て、マナは思わず微笑し……彼だけでなく、自分も良い夢を見れるよう祈った。